不動産投資に興味があるけれど、「利回り」という言葉の裏側にある本当の意味を理解できていますか? 広告で見かける高い数字に心惹かれつつも、「本当にこれで儲かるの?」と疑問に感じている方も多いかもしれません。
この記事では、不動産投資における「利回り」の基本から、見せかけの数字に惑わされずに賢い投資判断をするためのポイントを、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。私が様々な情報を参考にしながらまとめた、あなたの不動産投資の第一歩を確かなものにするための知識を、ぜひ身につけてください。
1. 「利回り」って何?不動産投資における基本のキ

まず、「利回り」とは何かを明確にしましょう。不動産投資における利回りとは、物件価格に対して1年間でどれくらいの金額を回収できるかを表す割合のことです。簡単に言えば、投資したお金に対して、どれくらいの収益が見込めるかを示す指標ですね。
しかし、この「利回り」には、いくつか種類があることをご存知でしょうか? ここが、不動産投資の複雑でありながらも重要なポイントになります。
2. 見せかけの数字に注意!3つの利回りを使いこなす

不動産広告で目にする利回りは、実はその一部に過ぎません。賢い投資家は、複数の「利回り」の概念を理解し、総合的に判断します。主要な3つの利回りを見ていきましょう。
1. 表面利回り(グロス利回り)
最もよく広告に掲載されているのが、この「表面利回り」です。
- 計算式:
物件の満室想定年収 ÷ 物件の価格
これは、家賃収入だけを見て計算されるため、非常にシンプルで分かりやすいのが特徴です。例えば、物件価格が3,000万円で、満室時の年間家賃収入が300万円の場合、表面利回りは10%(300万円 ÷ 3,000万円)となります。
【注意点!】 この表面利回りは、物件の収益性をざっくりと把握するのには便利ですが、**税金や管理費、修繕費といった物件購入後にかかる様々な経費が一切考慮されていません。**そのため、「見せかけの利回り」とも言われ、これだけで投資判断をすると、後から想定外の費用がかかり、失敗するリスクがあるため注意が必要です。
2. 実質利回り(ネット利回り)
不動産投資の収益性をより正確に把握するために不可欠なのが、この「実質利回り」です。
- 計算式:
(年間収入 − 年間運営経費) ÷ (物件価格 + 購入時の諸経費)
表面利回りでは考慮されない以下の費用が、実質利回りではきちんと計算に含まれます。
- 購入時の諸経費: 仲介手数料、不動産取得税、登記費用など、物件購入時に一度だけ発生する費用。
- 年間運営経費: 管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、火災保険料、共用部の電気代や水道代、賃貸管理委託手数料など、毎年継続的に発生する費用。
実質利回りを計算することで、実際に手元に残る金額に近い収益率を把握できます。例えば、年間収入300万円の物件でも、年間運営経費が50万円かかり、物件価格3,000万円に対し購入時諸経費が200万円かかった場合、実質利回りは「(300万-50万)÷(3000万+200万)=約7.8%」となります。表面利回りの10%と比べると、かなり数字が下がるのが分かりますね。
【重要性】 不動産投資において、最終的に重視すべきは、この実質利回りです。 広告の表面利回りだけでなく、必ず実質利回りを計算して、その物件の本当の収益力を見極めるようにしましょう。
3. 想定利回り
「想定利回り」は、主に一棟マンションや一棟アパート投資などで使われる概念です。
- 特徴: 全ての住戸が満室であることを前提に計算されます。
この利回りも、あくまで「満室を想定した場合」の数字であり、空室リスクは考慮されていません。特に、空室率が高い物件や、賃貸需要が低いエリアの物件では、想定利回りが高くても実際の収益は大きく下がる可能性があります。
3. 利回りは「リスクの高さ」も表す!?

「利回りが高い物件ほど儲かる!」と単純に考えていませんか? 実は、利回りは単に収益性を表すだけでなく、投資対象のリスクの高さも示していると理解することが重要です。
- 無リスク資産の期待収益率: 一般的に、長期国債のように元本割れのリスクが非常に低い資産の利回り。
- 投資対象のリスクプレミアム: 投資対象固有の投資リスクに応じた上乗せ分。リスクが高い投資対象ほど、このプレミアムも高くなります。
つまり、「利回り = 無リスク資産の期待収益率 + 投資対象のリスクプレミアム」という考え方で利回りは決定されるのです。
高利回りの物件は一見魅力的ですが、それは「その物件が抱えるリスクが高いからこそ、高い利回りでなければ投資家が投資しない」と市場が判断している証拠でもあります。例えば、以下のようなリスクが考えられます。
- 空室リスク: 周辺に競合物件が多い、駅から遠い、築年数が古いなど。
- 家賃下落リスク: 人口減少エリア、需要の低い物件タイプなど。
- 修繕リスク: 築年数が古い、管理状態が悪い物件などは、大規模な修繕費用が急に発生する可能性が高いです。
- 流動性リスク: 需要が低い物件は、売却したいときに買い手が見つかりにくく、価格を下げないと売れない可能性があります。
投資初期は高利回り物件に目を奪われがちですが、高利回り物件には高リスクが潜んでいることを理解した上で、自身の許容できるリスクレベルに合った物件を選ぶようにしましょう。
4. 利回りだけではない!不動産投資で失敗しないための視点

利回りの計算は重要ですが、それだけで不動産投資の成否が決まるわけではありません。他にも考慮すべき重要な視点があります。
1. 損益分岐点利回りを把握する
損益分岐点利回りとは、「その利回りを下回ると赤字になってしまう」というラインを示すものです。これは、実質利回りを計算する際の年間運営経費だけでなく、ローンの返済額やその他発生しうる費用全てを含めて計算します。
この損益分岐点利回りを事前に把握しておくことで、もし空室が発生したり、家賃が下落したりした場合に、どこまで耐えられるかの目安となり、リスク管理に役立ちます。
2. キャッシュフローを重視する
「利回りが高い=手元にお金が残る」とは限りません。特にローンを組んで投資する場合、ローンの返済額が大きいと、いくら利回りが高くても手元のキャッシュが残らない、あるいはマイナスになることがあります。
不動産投資は、長期にわたって安定したキャッシュフロー(手元に残るお金の流れ)を生み出すことが成功の鍵です。利回りだけでなく、毎月・毎年のキャッシュフローがプラスになるかをしっかりとシミュレーションしましょう。
3. 「家賃を上げる」ことの重要性
不動産投資の収益性を維持・向上させるためには、コスト上昇や期待収益の維持に耐えうる「賃料収入の増加」、つまり「家賃を上げる」ことが不可欠です。もし家賃収入が増加しない場合、不動産価格が下落してしまう可能性もあります。(財務省:財務総合政策研究所が発表している資料にて確認:https://www.mof.go.jp/pri/research/seminar/fy2024/lm20250331.pdf)
これは、物件の魅力度を維持・向上させるための修繕やリノベーション、あるいは適切な管理会社選び、入居者へのサービス向上などによって達成されます。単に利回りだけを見るのではなく、将来的に家賃を維持・向上させられる物件かどうかという視点も持ちましょう。
5. 利回りの現状と今後の見通し
不動産投資の利回りは、景気動向、金融政策(金利)、不動産市場の需給バランス、そして地域によって大きく変動します。
- 金利との関係: 一般的に、金利が上昇すると、投資家がローンを組む際のコストが増えるため、期待利回りも上昇する傾向にあります。逆に、金利が低い時期は、より低い利回りでも投資が成立しやすくなります。
- 物件の種類・立地: 都心の一等地の物件や、単身者向けのマンションなどは、安定した需要が見込めるため利回りは低めに推移する傾向があります。一方で、地方のファミリー向けアパートなどは、空室リスクが高い分、利回りが高く設定されることがあります。
- 市場の動向: 不動産価格が上昇している時期は、物件価格が高くなるため相対的に利回りは低下します。逆に価格が下落している時期は、利回りが高まる可能性がありますが、同時に売却時の損失リスクも高まります。
常に市場の動向を注視し、最新の情報を収集することが重要です。
最後に:賢い不動産投資への道

不動産投資における「利回り」は、物件の収益性を測る上で非常に重要な指標ですが、その数字の裏に隠された意味を理解することが何よりも大切です。表面的な数字に惑わされず、実質利回りを正確に計算し、物件が抱えるリスク、キャッシュフロー、そして将来的な家賃収入の可能性まで総合的に判断する力が求められます。
今回の記事が、あなたの不動産投資の知識を深め、より賢明な意思決定をするための参考になれば幸いです。
不動産投資は決して楽な道ではありませんが、正しい知識と戦略を持って臨めば、あなたの資産形成に大きく貢献してくれるのは間違いないでしょう。
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